豊福医院では、女性特有の症状などについて気兼ねなくご相談していただけるよう、女性医師による診察をおこなっています。
月経不順とは、月経周期や月経の持続日数、月経血の量などが正常におこらないことをいいます。正常な月経とは、月経周期(月経の初日から次の月経の前日までの日数)が25日~38日間、月経持続日数が3日~7日間、月経血の量が20g~140gです。
女性は、ストレスや環境の変化などでもホルモンバランスが乱れ、月経不順になることがありますが、月経の乱れが2か月以上続く場合は、一度病院を受診した方がよいでしょう。
月経不順を放置しておくと、治りにくくなったり不妊症の原因になることもあります。
月経周期の異常 |
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月経時続日数の異常 |
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月経血の量の異常 |
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月経不順の原因は、ホルモンバランスの異常によるもの以外にも、子宮筋腫や子宮内膜症などの女性生殖器疾患が隠されている場合もあります。
ホルモンのバランス異常には、ストレスや環境の変化などで起こる一時的なものもありますが、多嚢胞性卵巣症候群や甲状腺機能の異常、更年期障害などが背景にある場合もあります。
基礎体温をつけて、自分の月経周期やホルモンバランスに異常がないかを知ることが大切です。そして、月経不順が2か月以上続く場合、気になる症状がある場合は、なるべく早く婦人科を受診することが大切です。
更年期障害とは、閉経前後に起こるホルモンバランスの乱れによって、さまざまな身体症状や精神症状が出ることをいいます。女性の閉経の平均年齢は50歳前後といわれており、45歳~55歳くらいを更年期といいます。更年期障害はこの間に起こりやすい症状です。
更年期障害の症状は多岐に渡るのが特徴で、症状の出方や程度、期間も人それぞれです。起こりやすい症状には以下のようなものがあります。
身体的症状 | 精神的症状 |
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更年期障害の原因は、加齢にともなう卵巣機能の低下によってエストロゲンが低下し、ホルモンバランスが乱れることで起こります。
更年期障害を起こしやすい人は、ストレスを感じやすい人に多く、子どもの自立や親の介護、夫の定年、仕事などのストレスが重なると症状が強く出る人もいます。
更年期障害の治療には、薬物療法と精神療法があります。薬物療法は、ホルモン薬や漢方薬、抗うつ剤、睡眠薬など症状に合わせて投与されます。精神療法は、カウンセリングやストレスとうまく付き合っていくためのトレーニングなどによって症状の改善を図る方法です。
更年期障害をうまく乗り切るためには、自分なりのストレス発散法を見つけることと、生活習慣や食習慣を整えて体にも心にも負担をかけすぎないようにすることが大切です。また、症状が辛い場合は我慢せず医療機関を受診することが重要です。
子宮は西洋梨をひっくり返したような形をしていて、赤ちゃんを宿す子宮体部とその下の膣につながる筒状の子宮頸部に分かれています。子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と子宮頸部にできる「子宮頸がん」があり、その原因も好発年齢も違います。
子宮頸がん | 子宮体がん |
子宮の入り口にできるがんで子宮がんの約7割を占めます。20~30代の比較的若い年代から発症し、30代後半がピークとなります。早期発見できれば完治できるがんなので、20歳になったら自治体や会社でおこなわれる子宮頸がん健診を受けるよう啓蒙がされています。
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子宮の内側にある子宮内膜から発生するがんで、発症は40歳以降で多くなり50~60代がピークとなります。子宮体がんは、子宮頸がんのような定期健診の制度はないので、40歳以降で気になる症状があればすぐに受診することや、リスクが高い方は定期的な婦人健診(個人健診)を受ける方がよいでしょう。 |
子宮頸がん | 子宮体がん |
初期には自覚症状がほとんどありません。 進行すると、不正出血や性交時の出血、月経血量が増える、月経期間が長引くなどの症状が出ます。 |
比較的早期から不正出血の症状が現れるのが特徴です。閉経前後で不正出血がある場合は、子宮体がんを疑って早めに病院を受診することが必要です。 |
子宮頸がん | 子宮体がん |
性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が関係していることが分かっています。感染してもたいていは体から排除されますが、排除されないと5年~10年の年月をかけて、徐々にがんが発生します。 発症のリスクが高い人
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女性ホルモンのエストロゲンが関係していることが分かっています。特に更年期は無排卵月経になることが多く、排卵後のプロゲステロンの分泌が少ないためエストロゲン優勢となり、子宮体がんのリスクが高まります。 発症のリスクが高い人
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子宮頸がん | 子宮体がん |
早期の自覚症状がありません。 20歳になったら、2年に一回は定期健診を受けることがもっとも大切です。 また、不正出血や月経時の異常など症状がある場合も早めに病院を受診するようにしましょう。 |
比較的早期から症状が現れるので、気になる症状がある場合は早めに病院を受診することが大切です。 また、リスクが高い人は、定期的に個人健診を受けることが早期発見には有効です。どちらのがんも早期発見できれば治癒できる可能性が高いです。積極的に健診を受けるようにしましょう。 |
卵巣がんは卵巣にできるがんで、卵巣腫瘍のほとんどは良性ですが、約10%が卵巣がんです。発症は40歳以降で多くなり、50~60歳代がピークとなります。
卵巣がんは、早期にはほとんど自覚症状がなく、かなり進行してから発見される場合が多いです。しかも進行が早のも特徴の一つです。卵巣がんの症状は、腹部の違和感やしこり、膀胱が腫瘍に圧迫されて、おしっこが近くなるなどがあります。進行が早いため、がんが腹膜に転移し、お腹に水が溜まって息切れが起こるようになってから発見されるというケースもあります。
卵巣がんの詳しい発症原因は分かっていませんが、卵巣は排卵のたびに損傷と修復を繰り返すので、その過程で異常が発生してがんが発生するのではないかといわれています。
一方で、約1割には遺伝性があることが分かっています。
卵巣がんは定期健診がなく、初期症状もないことや、症状が出る頃にはかなり進行しているなど早期発見が難しい病気です。
そのため、もちろん症状があればすぐに病院に受診することが大切ですが、それ以外にも40歳以降で高リスクの方は、1年1回は婦人科個人健診を受けて卵巣に腫れや異常がないかを診てもらうことが大切です。
乳がんは、母乳を運ぶ乳管から発生するものがほとんどで、他には母乳を作る乳腺(小葉)から発生するものもあります。患者数は、近年、食べ物の欧米化にともない日本でも増加傾向で、女性がかかるがんで一番多いがんとなっています。発症年齢は30代後半から多くなり、40歳代後半がピークです。
乳がんの発見のきっかけは、ほとんとが定期健診や自己健診でのしこりの症状です。
そのため、30歳後半になったら定期的な健診を受けることと、月経周期(月経終了1週間後くらいがベスト)に合わせて、月に1回は自己触診で乳房の状態を見ておくことが大切です。
乳がんの原因には、女性ホルモンであるエストロゲンの関与が指摘されています。他にも遺伝性の乳がんもあります。
乳がんの治療の基本は外科手術です。女性にとって乳房に傷をつけることは辛いですが、早期に発見できれば完治ができ、乳房の温存も可能です。そのため、早期発見のためにも30歳後半になったら自治体や会社の定期健診を受けること、月に1回は自己健診することが大切です。