糖尿病


糖尿病外来イメージ画像

糖尿病とは、血糖値を下げる働きをするインスリンが不足したり、インスリンの効きが悪くなったりすることで血液中の糖が高い状態(高血糖)が続くことをいいます。

健康な場合は、食事をして血糖値が上がれば、膵臓からインスリンというホルモンが出て血糖値を正常な状態に戻し、反対に血糖値が低くなると血糖値を上げるホルモンが出て常に血糖値を一定に保っています。

 

ところが、糖尿病になると血糖値を一定に維持できないため、さまざまな症状や合併症を引き起こしてしまうのです。

糖尿病の診断

糖尿病の診断には、空腹時や食後2時間後の血糖値、過去1~2か月の血糖値を示すHbA1c(エイチビーエーワンシー)の値、症状などを見て診断がされます。

 

以下の4つのいずれかに当てはまれば「糖尿病型」、別の日に再度検査をして1.~2. のいずれかに当てはまる場合、4. だけ当てはまる場合でも、前回1. ~3. のいずれかに当てはまった場合は「糖尿病」と診断されます。 

  1. 空腹時血糖が126mg/dl以上
  2. ブドウ糖を飲んで2時間後の血糖値が200mg/dl以上
  3. 飲食に関係のない随時血糖が200mg/dl以上
  4. HbA1cが6.5%以上

※なお、空腹時血糖が110mg/dl~125mg/dl、ブドウ糖の負荷後2時間の血糖値が140mg/dl~199mg/dlの間は「境界型」といわれ、糖尿病の危険が高い状態を示します。

(日本糖尿病学会、糖尿病治療ガイドより)

症状

糖尿病は、初期にはあまり自覚症状がありませんが、高血糖状態が続くと以下のような症状が現れます。

おしっこの量が増える

血液中の糖分が高くなると、糖分を尿として排泄しようとして水分も一緒に出るため、日中、夜間に関わらず何度もおしっこに行きたくなります。
のどが渇く おしっこの回数が増えることで体が脱水状態となり、のどが異常に乾くようになります。
体重が減る 正常であれば、インスリンが食事から摂った糖分を細胞に蓄えて必要なときにエネルギーに変えて利用しています。ところが、糖尿病になるとインスリンがきちんと役割をはたせず、糖分をエネルギーとして利用できないため、体内の脂肪や筋肉を分解してエネルギーに変えるしかなく、痩せていってしまいます。
疲れやすい インスリンがうまく働かないことでエネルギー不足になり、疲れやすい、だるいなどの症状が出ます。

高血糖状態をさらに放置していると、徐々に細い血管が障害され、さまざまな合併症を引き起こします。最終的には太い血管も障害されて命に関わる合併症につながってしまいます。

細い血管

障害されて起こる合併症

  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経障害

太い血管

障害されて起こる合併症

  • 脳梗塞、脳出血
  • 心筋梗塞
  • 抹消動脈性疾患

原因

糖尿病は原因によって以下の種類に分けられています。 

Ⅰ型糖尿病

膵臓のインスリンを分泌する細胞が障害されることで、インスリンの分泌が不足して起こる糖尿病です。子どもや若い人に多い糖尿病で原因はまだよく分かっていませんが、ウイルス感染などが指摘されています。 

Ⅱ型糖尿病 食べ過ぎや過度な飲酒、運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因となって高血糖状態が続くことで、インスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなったりすることで起こる糖尿病です。中高年者に多く糖尿病の95%以上がこのタイプです。

ほかにも、妊娠が影響して発症する妊娠糖尿病や、遺伝子異常による糖尿病、他の病気や薬剤によって起こる糖尿病もあります。

対策

糖尿病は、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断で高血糖を指摘されることで始めて気づくことが多いです。血糖が高いと指摘されたら、自分が糖尿病型や糖尿病になっていないか一度、医療機関できちんと調べて、少しでも早く治療を開始した方がよいでしょう。

 

一度糖尿病になってしまうと、一生、糖尿病と付き合っていかなくてはなりません。なるべく糖尿病の診断を受ける前に、食事や運動など生活習慣を見直し、血糖値を正常な状態に維持できるようにしましょう。 

 

また、糖尿病と診断された後も、食事療法や運動療法で治療をおこなっていきます。それでもコントロールが悪い場合は、薬物治療やインスリン療法も合わせて、血糖のコントロールを目指します。